東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店

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2025.09.18

その他

字源辞典「字統」を購入しました!

数年前から購入したいと考えていた字源辞典「字統」(白川静著、平凡社)を購入しました。ただし古本です。
最新版は2007年改訂ですが、今回購入したのは1999年改訂の新装普及版です(2004年第8刷)。山藍摺(やまあいずり)色の表紙です。

本書は、”漢字の構造を通じて、字の初形と初義とを明らかにする「字源の字書」であり、その初形初義より、字義が展開分化してゆく過程を考える「語史的字書」であり、またそのような語史的な展開を通じて、漢字のもつ文化史的な問題にもふれようとする「漢字文化の研究書」である。”(「字統」”本書の要旨”より)

「字統」のなかで字形について、このように書かれています。
”常用字のうちに、犬、伏、臭、(途中省略)などの字がある。みな犬の形を含むその系列字であるが、そのうち小点を外したものが多い。この小点は犬の耳で、これによって人の正面形である大と区別したものである。臭が犬の自(鼻)によって嗅覚を示す字であることは、あまりにも明らかであり、他はみな犬牲を用いることを示す字である。”(注:犬牲とは犬のいけにえ)
”伏は伏瘞(ふくえい)というように、犠牲を地下に埋めることをいう。尊貴な人の墓室には、その玄室の坑下に、人と犬牲とを埋めた。”
”犬牲を祭祀や呪儀に用いることは、甲骨文字に極めて多くの例を見ることができる。”(「字統」”字形の問題”より)※この白川学説には、反論もあります。

私がなぜこの本を手に入れたいと長い間思っていたかというと、漢字の形はその意味を表しており、形そのものに理由があると思うからです。つまり、その漢字がどうしてその形なのかという成り立ちを知ることによって、その漢字の本来の意味を知ることができると考えています。上記の「臭」の説明にあるように犬が大に簡略化されたことにより、本来の意味が分からなくなってしまいました。小点ひとつとはいえ、重要な意味があります。

このように、現在私たちが使用している漢字は、日本の政治や学者の思惑によって本来の漢字の形をとどめていないものがたくさんあることが分かっています。このような改悪をした国字政策を本書の著者の白川静先生は強く嘆いておられました。

このコラムでも“「令和」と「梅」の話”や”榊(さかき)の数奇な歴史”で日本の国語政策の迷走について触れています。

この「字統」は、部首索引もありますが、読み仮名で引く字音索引がメインであることが特徴です。つまり五十音順に漢字が掲載されています。これは従来の漢字事典からみて画期的なことです。

少しだけ内容をご紹介しましょう。例として、「あ」に出てくる「阿」の箇所を一部抜粋してみます。

漢字の面白さに更にはまりそうです。

もし皆さんで、この漢字の字源を知りたいという希望があれば、お問い合わせください。事前に教えて頂ければ、篆刻教室にてコピーをお渡しすることもできます。

参考:
・この白川学説には、反論もあります。「807「臭」は犬の鼻の意味から「におい」の意味が出たか?」「1605「伏」は「犬を犠牲として埋める」の意味か?」(加納善光、イメージ理論)
・さらに、その反論に対する反論もあります。「かんじのはなし」(音声言語の観点)

様々な反論があることは学問の発展にとって望ましいことです。ただし、そこにはお互いの努力を認め、敬意を表する反論であって欲しいものです。
どの学説が正しいのかは時間と共に明らかになるでしょう。
それは学者にお任せして、私たちは漢字の面白さを味わっていきましょう。

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