東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店
2023.02.21
ハンコの知識篆刻印に関連するその他の印章について、簡単に説明しましょう。
なお、以下の印影は実寸大ではありません。
紙が発明されるよりも前に、古代メソポタミアで最初に印が使われたのは容器を封印するためと言われています。容器をひもで縛って、結び目に泥を貼り付けてその上に印を捺して封印をしていました。同じように中国では木や竹の書簡のひもを泥で封印していました。現在でも封筒を閉じた後に〆(しめ)を書いたり(✕・バツではありませんよ)、封緘印を捺したりします。(なお「〆」は国字です)
封緘印には「封」や「緘」の文字が使われることが多いですが、魚と鳥が描かれることがあります。その由来は、魚と雁(かり)は書信を運ぶ動物とされているからです。魚は腹に書信を蔵するいう古詩(李白『秋浦寄内』(秋浦にて内に寄す))と、雁が書信を運ぶという故事(『漢書(かんじょ)』「蘇武伝」)によります。また、遠来の客が置いていった2匹の鯉(こい)の腹中に手紙があったという故事(「古楽府‐飲馬長城窟行」)から、魚が二匹書かれる雙魚(そうぎょ)・双鯉(そうり)という図柄もあります。
まだいろいろな封緘印がありそうで面白いです。
印ではなく石、木材、金属などの平らな材料の表面に文字を刻むことを「刻字」といいます。例えば表札や看板、石碑などです。刻字の歴史は古く、筆が発明される以前からありました。書道の教科書に登場する古代の漢字はそのほとんどが刻字の拓本です。
毎日書道展では独立した刻字部門がありますが、日展や読売書法展、産経国際書展では刻字は篆刻部門の中に含まれます。刻字は印に刻んでいないので篆刻とは本来異なります。
※小泉八雲『怪談』の序文に「『雪おんな』は、武蔵の国、多摩郡、調布の農夫が話した、村に伝わる昔話を基にして書いた」とあります。今の青梅市千ヶ瀬町です。(当店から徒歩12分程度のところに石碑があります)
※当店では、表札のご注文も承っております。各種取り揃えておりますので、一度ご相談ください。
落款印と似たものに「遊印」があります。「押脚印」(おうきゃくいん)とも言います。落款印とは別に書画作品の右下などの空白部分に捺す印のことを指します。文字は自由で、好きな言葉を彫ることができます。押す場所が自由であること、印文が自由であることなどから「遊印」と呼ばれるようになったと考えられます。氏名印・雅号印などの落款印と一緒に作品の完成時に捺すことが多いので、落款印の一部として扱われることもあります。
落款印と同様に元々は偽造防止が目的だったようです。今は、作品に飾り(遊び)として捺します。書画作品にとどまらず、書簡、絵手紙、水彩画、色紙、短冊、カードなど何にでも捺すことができます。
当店の「梅の小枝印」も遊印の一つです。「梅の小枝印」のチラシが出来ました!
本来は、雅号を彫ったハンコやその印影のことを「雅印」または「雅号印」といいます。「雅印」は落款印の一種です。しかし、「落款印」あるいは「篆刻印」と同義に用いられることもしばしばあります。
『落款に印を用いる風も明以後は一般化し、文人は印にも意を用いて姓名や雅号のみならず、詩句を彫って鑑賞することも行われ、14世紀には青田石に容易に彫刻することが発見され篆刻は文人の教養の一つとなった。これらの私印を雅印とよぶ。』
(世界大百科事典より)
つまり、「篆刻印」と同じですよね。(篆刻印のうち私印を雅印だと言いたいのでしょうか)
※「私印」は私的な印、これに対して「公印」は公的な印です。
定義が不明確で「雅印」と言ったときに人によって受け止め方が様々なので注意して使いましょう。
枠付きの住所印(ゴム印)を風雅印と呼んで販売していますが、これを略して雅印と言うこともあります。葉書、封筒に捺印する「祝雅枠」のある住所印です。本来、年賀に用いられ、上下の帯(少し太いひらひらの枠)は、「おめでたい」を意味するのだそうです。現在では、年賀に限らずいつでもお使いいただけます。趣があって良いですね。
風雅印の書体や行数はいろいろ選べます。ぜひ当店にお問い合わせください。
昔は書籍は手書きで書き写していたので、とても貴重でした。そこで貸したときにちゃんと返してもらえるように本には蔵書印を捺して所有者を明示したわけです。「〇〇氏蔵書」「○○所蔵」など姓を彫刻することが多いようです。文字のほか絵柄の印もあります。白文・朱文ともどちらも使われます。
書籍に直接印を捺すのではなく、印を捺した紙を書籍に貼る「蔵書票」も盛んに使われました。特にヨーロッパには和紙・朱肉が無かったので蔵書印は広まらず木版画の蔵書票が使われました。世界最古の蔵書票と言われているのは、15世紀ドイツのヨハンネス・クナベンスベルクの木版で「ハリネズミ書票」です。そこには「私の本を返さなければハリネズミがあなたにキスする」と書かれています。
昔は図書館の本には全て蔵書印が押されていましたが、最近はバーコードやICタグなどが使われ始めています。
篆刻体験教室でご自分の蔵書印を彫ってみませんか?
日本では平安時代の貴族や僧侶に始まり、特に鎌倉時代以降から武士が文書の最後に署名を書くときに「花押」という一種のサインを書くようになりました。
しかし、たくさんの文書(手紙)を書くようになり、次第に花押を印で捺すようになりました。これを「花押印」と言います。江戸時代中期になると、庶民の間では花押がハンコに代わっていきました。
「花押」は、なんと!現代でも首相や閣僚が用いています。こちらは印ではなく毛筆です。
『閣議書に閣僚の意思を表わす花押を毛筆で書くことが内閣制度創始以来の慣習となっている。花押は、別名「書き判」とも言われ、その形が花文様に似ていることから「花押」と呼ばれている。広く使われている花押は、そもそも中国の明時代に流行した形が、江戸時代初期に伝えられたもので、先ず天と地の両線(上下の二線)を横に引き、この天地の中間に自分で考えた文字を簡単な形にして作成している。』(首相官邸ホームページより)
「持ち回り閣議」早急な処理を要する案件で、閣議書を持ち回って各大臣の署名(花押)によって閣議決定が行われること。(首相官邸ホームページより)
今でも国の中枢で花押が使われているなんて知ってました?日本ってやはり古い伝統を重んじるんですね。(デジタル担当大臣も何も言えないでしょう)
関心のあるハンコがあったら是非お問い合わせください。篆刻体験教室に参加してみたい方も、 ホームページの「お問い合わせ」、または電話(0428-22-4461)でお申込み・お問い合わせください。
1回でも、何回でも参加できます。開催スケジュールはこちらでご確認ください。