東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店

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2020.10.04

ハンコの知識

落款印ってどういうもの?

落款印(らっかんいん)とは落成款識印(らくせいかんしいん)の略語です(脚注1)。書道や絵画などの作品が完成したことを示すために、作者が捺す印です。
落款印は押さなければならないというものではありません。しかし落款印を捺すことによって、作品が引き締まり、完成度が上がり、全体のバランスが安定する効果があります。
何よりも作者本人の完成した実感、満足感が高まるのは間違いありません。

書道はもちろんのこと、絵手紙や年賀状、短冊、ちぎり絵、水彩画、水墨画、色紙、扇子、魚拓など落款印 (らっかんいん) を捺す場面はいろいろあります。

川合玉堂作「山村積雪」
落款部分の拡大

「〇〇鑑定団」などで書画の真贋判定に落款印が根拠とされている様に、本人の証明という意味もあります。

立派な書画の作品が出来ても、落款印が貧弱では一流とは言えません。

当店では、落款印を自分で彫る篆刻体験教室を毎月開催しています。誰でも参加できます。

当店では、日本最高レベル(黄綬褒章受章)の技術で落款印をお作りします。ぜひご相談ください。 ( こちらから、または電話(0428-22-4461) )

落款印は基本として三種類

落款印は基本として三種類あります。
1.姓名印(白文)
2.雅号印(朱文)
3.引首印(白文・朱文)
(狭義には氏名印と雅号印を落款印と呼び、広義には後述の4.押脚印(遊印)を含めます)

この3つセットの印を三顆印(さんかいん)と呼びます。ただし現在では三種類(三顆)にこだわらず、作品全体のバランスから引首印を省略したり(二顆)、さらに姓名印か雅号印のどちらかを省略する(一顆)こともあります。かな作品の場合は、一顆が多いようです。

落款印を捺す位置

1.姓名印(白文)

氏名のフルネームまたは名前のみ(一部の文字も可)を彫ります。通常、姓のみは使用しません。バランスをとるために「~印」「~之印」の字を加えることもあります。文字が白くなる白文で作ります。 基本は正方形(角印)です。(上図の1)

2.雅号印(朱文)

雅号を彫ります。雅号がない場合は名前のみを彫ります。バランスをとるために「号~」の字を加えることもあります。 「~印」「~之印」 は付けません。文字が朱くなる朱文で作ります。
謹書(手紙)では、朱文で本名を使います。 基本は正方形(角印)です。 (上図の2)

なお、姓名印と雅号印を一つの作品に同時に捺す場合は、上に姓名印(白文)、下に雅号印(朱文)を押します。また、同じ大きさの印を使用したほうがきれいに整います。

3.引首印(白文・朱文)

引首印(いんしゅいん)は関防印(かんぼういん)とも呼ばれます。 作品の右肩に書き始めを表す飾りとして捺します。好きな詩句・座右の銘などを彫ります。「~堂」「~閣」「~亭」などを彫ることもあります。縦長の印で、白文、朱文のどちらも使います。(上図の3)

4.押脚印(白文・朱文)

遊印とも呼ばれます。作品の右下などの空白部分に飾りとして捺すことがあります。印文は、引首印と同じく好きな字句を彫刻します。通常は角印で、白文、朱文のどちらも使います。 この印はなくてもかまいません。 (上図の4)

落款印の大きさの目安(size)

大きさに定めはありません。作品全体のバランスを考えて、大きさを決めます。
文字数が多い場合は小さめの落款印、文字数が少ない場合は大きめの落款印にすると良いでしょう。また、ひらがな作品は漢字作品よりも小さめの落款印があうでしょう。

次の表は姓名印や雅号印の大きさの目安です。これより大きいものや小さいものも間違いではありません。落款印も作品の一部としてとらえて、大きさや捺す位置を決めると良いでしょう。

姓名印の文字の配置

文字配置の基本は「右から左」「上から下」です。
姓が2字で名が2字の姓名印の場合は、次のように配置します。(これは実際の印影ではありません。PCフォントを使用しています)

文字配置の例1

姓または名が1字の姓名印の場合は、次のように配置します。(実際の姓名印は白文です)
「新版 篆刻の実習」(蓑毛政雄著、教育図書)より)

文字配置の例2

その他の落款印

5.蔵書印
書籍に所有者を明示するために捺す印です。「〇〇氏蔵書」「○○所蔵」など姓を彫刻することが多いようです。

国立国会図書館の電子展示会で「蔵書印の世界」が公開されています。

落款印の材料

落款印は、石で作ることが多いですが、そのほかに、柘、黒水牛、象牙などもあります。古くは金属も使われています。有名な国宝「漢委奴国王」の金印は金で作られています。
石の印材についてはこちらも合わせてご覧ください。

石の落款印の例

側款とは

側款(そくかん)とは、落款印の作者が、彫刻した日付や彫刻者名を側面に彫ったものです。彫った落款印を人に贈る場合に私からのプレゼントですという意味を込めて側款を刻むことがあります。その場合、多くは彫刻者名が彫られます。まれに詩や絵などが刻まれることもあり、何を刻むのかは原則本人の自由です。

例えば「壬寅睦月 ○○刻」などです。「○○」の部分には作者の名前や雅号が入ります。干支(えと)は古風な感じになります。干支ではなく「令和四年」でも良いでしょう。日付が重要でなければ名前だけでも構いません。

通常、側款は印材の左側(印面に向かって右側)に彫られます。この理由は印を押す際に手で触れられにくく、汚損摩滅を避けられるからです。また右利きの場合は押印するとき側款が見えるので、印面の上下を定める目印にもなります。

上の写真例のように側款の文字の部分に白絵の具・朱墨などを流し込み、文字が目立つようにすることもできます。

[ 参考 ] 「篆刻印と落款印の違いは何か?」「篆刻印に関連する様々な印

最後に

当店では落款印の御注文を承っております。
日本最高レベル(黄綬褒章受章)の技術で落款印をお作りします。ぜひご相談ください。

当店では落款印を自分で彫る篆刻体験教室を毎月開催しています。そこでは、純粋に印を彫る楽しさを感じて欲しいと願っています。 彫っている時間は無言で集中できる貴重な時間、心が洗われる気がします。 開催スケジュールについてはこちらのページをご覧ください 。

落款印のご注文や篆刻体験教室に関するお問い合せ・ご相談はこちらから、または電話(0428-22-4461)でどうぞ。

(脚注1) 「落」は字画を書写するの意味であり、「款」は書画上に書きつける作者の題名である、「落成款識」とは関係ない、という説がある。(「モノをいう落款」北川博邦、2008年、二玄社)