東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店
2023.02.21
ハンコの知識最近、こんな質問をよく聞かれます。
「篆刻印(てんこくいん)と落款印(らっかんいん)の違いは何でしょうか?」
Webで検索するといくつか説明が出てきますが、諸説あり、微妙に異なっています。
そもそも篆刻や落款は風雅(粋・イキ)を楽しむ世界なので、厳密に言うのは野暮(ヤボ)だと言われそうです。
しかし、それでは納得できない方のために、篆刻印と落款印の違いを私なりに厳密に解釈してみたいと思います。
つまり「篆刻印」は印そのものが目的である場合があり、何のために捺すのかが決まっていませんが、「落款印」は落款という目的があって捺します。また「篆刻印」は篆書体を基本としますが、「落款印」は書体に関する決まりはありません。使用する目的と彫られる書体が違うという事ですね。
どうです、すっきりしましたか?
【参考】
・「落款印ってどういうもの?」
・「そもそも篆刻とは何?」
「篆書体」は中国の秦の時代に作られていますが、印は篆書体だけとは限りません。絵柄が描かれている印(肖形印・しょうけいいん)も作られています。
(注記)本来、四神とは、北=玄武、東=青龍、南=朱雀、西=白虎ですが、上の漢時代の印では天子から見て正位置になるように逆に彫られています。
そこで、篆刻とは趣を味わうものというおおらかな立場から、肩ひじ張らずに広義に「篆刻印」を定義し直してみましょう。
「篆刻印」とは 、(篆書体に限らず)文字や図柄を印に刻むこと。
篆刻印が篆書体でなくても良いと考えると、対象範囲が広くなり「落款印」も「篆刻印」に含まれることになります。つまり、「篆刻印」のなかで落款として使うものを「落款印」と呼びます。むしろこちらの方が現代の感覚に近いかもしれません。
当店の篆刻体験教室は、何を彫っても良いので、この定義に近いです。もちろん、基本は篆書体で、通常は、間宮先生が素晴らしい篆書体を鏡文字(左右反転した文字)にして印面に書いてくださいます。またこの頃は、文字だけではなく自分でデザインした絵を彫りたいという人が出てきて、自分で紙にデザインした図柄を持ち込んで、それを彫る人がいます。
最近の篆刻体験教室の作品の中から、特に文字以外を彫った印をいくつかご紹介しましょう。これらは全て制作者の同意を得て掲載しています。(その他の印影は当店にてご覧いただけます。)
※「仮面ライダーリバイス」は、2021年9月5日から2022年8月28日まで、テレビ朝日系列で放送されました。スタンプを捺すことによって変身するという、はんこ屋さんが飛び上がって喜ぶヒーローものでした。
※上の「封緘印」には魚と鳥が書かれています。その由来は、魚と雁(かり)は書信を運ぶ動物とされる中国に故事によります。(雁→ペリカンと変わっているのはご愛敬)
(それでは今流行の「消しゴムはんこ」は篆刻印か?…これはどちらかと言うと版画でしょうね…独り言)
篆刻印に関連するその他の印章については、「篆刻印に関連する様々な印」をご覧ください。
さて、ちょっと情報過多になってしまいました。篆刻が難しいことのように感じてしまったでしょうか。すみません。
しかし、案ずるより産むが易しと言います。とにかく篆刻をやってみませんか?
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