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2023.02.24

その他

「令」は手書きでどう書きますか?

[ 注意 ] このページでは、令はパソコンのフォントを使用していますが、フォントにない漢字は漢字の画像を文章中に挿入しています。ところが使用しているシステムの不具合のため、画像が行から飛び出して表示されるようです。不具合が解決するまでは読みずらいですが、ご了承ください。

先に「令和」と「梅」の話で触れたように、「令」の書き方はかなりバリエーションが認められています。

文化庁のホームページに詳しい理由が書かれていますが、全文を読むのは大変なので、関係する部分だけを抜粋して以下に掲載しておきます。全文はこちらの「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成28年)を参照ください。

Q42 「令」や「鈴」を手書きの楷書でどう書くか
  ある金融機関の窓口で書類に記入する際に「令」を小学校で習った形(「」)で書いたら、明朝体と同じ形に書き直すように言われました。そうする必要があったのでしょうか。また、「鈴」、「冷」、「齢」といった他の常用漢字や「伶」、「怜」、「玲」などの表外漢字の場合も同じように考えていいのでしょうか。

A 本来であれば、書き直す必要のないものです。印刷文字に見慣れてしまったため、手書きでは「」と書く習慣があることが理解されにくくなっているのでしょう。

 「字体についての解説」にもこの書き方が例示されています。これは、手書き文字の字形と印刷文字の字形のそれぞれの習慣に基づく字形の相違であり、別の字ではありません。
  
 手書きの楷書に良く見られる「」と明朝体の「」との間には字形の差があるものの、同じ字体であるとみなされてきました。なお、「」のように手書きしてもかまいません。
 また、質問のとおり、小学校ではこの漢字を「」の字形で学習しています。その字形が社会で通用しない場合があるというのは、情報機器の普及等によって印刷された文字を見る機会の方が多くなっているからであろうと考えられます。本来、印刷文字の形の通りに手書きする必要はなく、このことは、社会全体で共有される必要があります。
 「令」に限らず、この形が漢字の一部になっているほかの常用漢字「領」、「鈴」、「冷」、「齢」などでも同様ですし、「伶」、「怜」、「玲」などの表外漢字(→Q4)についても同じように考えることができるでしょう。  ⇒【参照】 第2章4(6)エ
(以上、「常用漢字表の字体・字形に関する指針より抜粋)

【参照】となっている「第2章4(6)エ」にはこう書かれています。
『ここに挙げるような違いは、字体の判別の上で問題にならない』

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また、同じ指針には「第2章4(2)エ」にこう書かれています。
『字形に違いがあっても、同じ字体として認めることのできるものがある』

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結論としては、手書きの場合、次のどの書き方でも良いということです。

むかしむかし、日本語が文字を持たないときに、中国から漢字を導入して日本語に取り込みました。役人や僧侶はお手本通りに同じ字形で書いていましたが、民間に漢字が広がるとともに、書きやすいように省略して書くようになり、元は同じ漢字でもそこから様々な形が生まれたのではないか、と想像します。

これも変化を許容する日本語の懐の深さなのでしょうか。

しかし、明治に入り、戸籍制度が始まったときに手書きの漢字をそのまま登録したために、様々な字形が一点一画も訂正されることなく、そのまま正しい漢字として登録されてしまいました。

例えば、「齋藤」の「さい」の字には「斉」「斎」「齋」「齊」などが混在し、それぞれの漢字にバリエーションが複数存在し、NHK「日本人のお名前」によると、「さい」は85種類存在するそうです。

NHK「日本人のお名前」より

のちにこれが戸籍をコンピュータ化するときの大きな障害となりました。大文字小文字合わせても52文字しかない英語と違い、漢字全てをコンピュータに取り込むためには文字コード(漢字一つひとつに付けられた番号)が足りなくなってしまいました。

さらに、日本の漢字を標準化すべき国語政策が後手に回ったために、この混乱に拍車をかけました。現在では、マイナンバーにもかかわるキラキラネーム問題にもつながってきます。何とか統一して欲しいと思いますが、これを一つにまとめるのは大変な労力と全国民を説得する理論と忍耐力と交渉術が必要でしょう。

2023.3.9追記
印刷物で主に使われる明朝体は、手書き文書で主に使われる楷書体とは細かな点において字形が異なっています。これは中国・宋時代に木版印刷が盛んになったために、曲線が多くて彫りにくい楷書体に代わり宋朝体が使用されたことが原因です。宋朝体は明代に明朝体に発展しました。宋朝体・明朝体の特徴は、小さい文字を印刷したときに読みやすく、ほかの文字と区別しやすいように点画を修正していることです。しかし、この修正により手書き文字とは字形が異なってしまいました。明朝体を主とする印刷物が多く出回り日常的に目にするようになると、それが正しい字形として通用するようになりました。

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