東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店

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2023.02.15

その他

キラキラネームがなくなるか?

2023年2月3日新聞各紙は戸籍法改正案について一斉に記事を掲載しました。その改正は、戸籍に読み仮名をつける、読み仮名に一定のルールを設ける、というのが趣旨です。

氏名に読み仮名が無かったの?

今まで読み仮名が無かったの?と不思議に思われる方も多いでしょう。実は読み仮名が無かったのです。という事は普段、当たり前のように名前にフリガナを付けていますが、フリガナは戸籍上は存在していなかったのです(出生届にはよみかた欄がありますが、それが戸籍に反映されていないのです)。
もし「竹田 太郎」という人が「たけだ うるとらまん」とフリガナを付けても誰からも文句を言われることはありません(今までは)。

映画「シン・ウルトラマン」より

行政サービス向上のため!

そこで今回、氏名の読み仮名について基準を設けましょうという法改正案がまとめられました。以前から問題視されていましたが、具体的に政府が動くきっかけとなったのは、マイナンバーカードの導入です。お手元のマイナンバーカードをご覧ください。

氏名にフリガナがありませんね!政府は行政手続きをデジタル化するためにマイナンバーカードにローマ字表記を導入しようと考えていて、そのために読み仮名を確定する必要が出てきたのです。加えて、新型コロナウイルス支援給付金の支給が大幅に遅れたことが問題視されました。銀行口座は名前がカタカナで登録されていて、それを住民票と紐づけるために各自治体は手作業で確認をしなければならなかったという事情がありました。

今後、行政サービスを向上させるために戸籍(住民票を含む)に読み仮名をつけることになりました(まだ案です)。便利になることは良いことですよね。

キラキラネームはどうなる?

一方、市民の関心は、それよりも読み仮名に一定のルールを定めることにあります。新聞でもそちらの解説に多くの紙面を割いていました。(各新聞のオンラインでも参照できます)

  • 読売新聞「キラキラネームに制限 「一般的な読み」のみOK」
  • 朝日新聞「キラキラネームどこまで認める?「一般的な読み方」と戸籍法で規定へ」
  • 産経新聞「戸籍に読み仮名、要綱案採択 法制審、命名に一定ルール キラキラネーム認める余地」
  • 毎日新聞「キラキラネームに一定の制約「一般的な読み方を」 法改正要綱案」
  • NHK「行きすぎの「キラキラネーム」は戸籍記載せず 法改正の要綱案」

ここでキーワード「キラキラネーム」が出てきます。キラキラネームとは一般的な漢字の読み方を外れた当て字を用いる名前を指します。

毎年、1月から4月にかけて市内の各小学校・保育園から氏名ゴム印のご注文を頂きますが、その中には何と読むのか分からない名前が必ずあります。先生は大変だな、と思いながらゴム印を納品しています。好き勝手に名前を付けられては一般生活や行政サービスにも問題が出てきます。

ちなみに2022年の子供の名前ランキングの一位は、男の子「蒼」、女の子「陽葵」だそうです。何と読むか分かりますか?(アオイ、ソウ、アオ、ソラ)(ヒマリ、ハルキ、ヒナタ、ヒナ、ヒヨリ)だそうです。(明治安田生命の名前ランキング2022より)
十分にキラキラネームですね。昭和生まれの私にはとても読めません。

今回の改正案に先立ち、昨年、市民からのパブリックコメントを求めたところ、ほとんどが一般的な読み方に制限するべきという保守的な意見だったそうです。

法務省は、今回新たに設ける規定について「行きすぎた『キラキラネーム』など、社会に混乱を招く極端なものは記載されない。そのうえで、辞書に載っている読み方だけではなく、載っていなくても、社会に一定程度受け入れられる読み方であれば認められる方向だ」としています。

認める?認めない?

具体的に、認められないもの、認められる可能性があるものの例があります。
(*は天の声です)

認められないものの例
✕「高」(ヒクシ)と読む   … 漢字の意味とは逆の読み
  *(ヒククナイ)なら認められるのでしょうかね?
✕「太郎」(サブロウ)と読む … 読み違いか書き違いか分からない
✕「太郎」(マイケル)と読む … 漢字の意味や読みからは連想することができない
  *(ウルトラマン)は連想できるけどな。。。
✕「悪魔」(アクマ)と読む  … 反社会的
  *昔このような名前をつけようとした親がいましたね。子供がかわいそう。

認められる可能性があるものの例
○「海」(マリン)と読む … 漢字の意味と外来語を関連付ける
  *漢字にせず、かたかなでマリンとつけたらいいんじゃない?
○「星」(ヒカル)と読む … 漢字の意味や読みから連想される
  *ヒカルでもキラリでも読めません!誰が連想できるのでしょうね?
○「頼朝」(ヨリトモ)と読む … 本来的な音訓ではない「名乗り訓」
  *これはありかな。しかし日本史では読めなくて苦労したなぁ。
○「咲里」(エミリ)と読む … 古い訓を利用する(咲・エムと読む)
  *古い読み方を知っている人いるの?
また「大和」(ヤマト)や「小鳥遊」(タカナシ)など「頼朝」と同様に古くから訓読みされてきたものは認められる。(熟字訓を参照

どうも法制審議会部会のメンバーの中に多様な読み方が「日本の伝統であり文化だ」と主張する学者さんがいるようです。パブリックコメントの結果にあるように、個人的には、もっと厳しくしても良いかなと思います。

そのほか「天使」(エンジェル)、「大空」(スカイ)、「騎士」(ナイト)、「光宙」(ピカチュウ)などが認められるのか、まだまだ突っ込みどころ満載です。キラキラネームはなくなりませんね。

政府は今の国会に関連する法律の改正案を提出する方針です。今後、国会でしっかりと議論してほしいものです。

今回の改正案では、読みがなをカタカナで表記し、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という規定が設けられました。
また、読みがなが事前に本人に通知され、本人が望まなければ1度だけ変更できる仕組みが設けられています。(追記)

お子さんに名前を付けるときに、使っていい漢字は何か?この漢字を使えるのか?など簡単に知りたいときは、法務省の「戸籍統一文字情報」というサイトで確認できます。読み(音読みor訓読み)を入力して、「常用漢字」と「人名用漢字」にチェックを入れて検索します(必ず2つにチェックを入れてくださいね)。読みの代わりに画数を入力したり、ヘンを指定したりして検索することができます。