東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店

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2023.12.16

ハンコの知識

「本柘」と「あかね」の印材の違い

一般的に普及している印材の一つに「柘(つげ)」があります。木ヘンに石と書くように硬く欠けにくいのでクシなどで使われている木です。また細かな細工にも向いています。その特性から印章としても広く使用されています。ところで、柘には「本柘」と「あかね」があるのを御存じでしょうか。今回は「本柘」と「あかね」は何が違うのかをご説明しましょう。なお一般的には柘植と書きますが、印章業界では慣習的に柘の一文字を使います。

かつては戦後復興、高度成長時代など印章がドンドン売れていた時代がありました。そのためたくさんの柘の木が印章用に伐採されました。ところが柘の木は成長が遅いという欠点があります。そこで需要を満たすために成長の速い海外産の柘に似た安価な木材が代用品として輸入されることになりました。それが「あかね」です(*)。あかねの産地は主に東南アジアです。この海外産の「あかね」と区別するために、従来の柘を本物の柘という意味で「本柘(ほんつげ)」と呼ぶようになりました。
(*) カタカナで「アカネ」と書かれることもありますが、ここではひらがなに統一します。

「本柘」とは

本柘

本柘は耐久性があり、材質がきめ細かいので木材のなかでは印材に最も適していると言われます。当店でも「武蔵御嶽神社ご祈祷印」「こけしはんこ」は本柘が使われています。本柘の中でも最上位のランクのものとなるとかなり値が張ります。特に直径が18mm以上になるとその傾向は顕著です。

御蔵島(ウィキペディアより)

国産本柘の中でも御蔵島の本柘が最上級とされています。
御蔵島(みくらじま)は、東京から南へ約200kmの伊豆諸島の一つです。三宅島の南約20kmに位置します。島全体が豊かな原生林で覆われていて、富士箱根伊豆国立公園に指定されています。御蔵島の柘はベンテンツゲとも言われます。その名の由来は、御蔵島の柘が江戸時代に櫛(クシ)の材料に使われて、その木材の美しさが大奥女中たちを魅了したことによります。木質は均一緻密で硬く、用材として利用できるまでには、雨風に耐え忍び80~100年も要すると言われており、その希少性から「木のダイヤモンド」と呼ばれています。将棋駒、こけし、印章、櫛等いずれも高級品として利用されています。

東京都知事認定伝統工芸品「東京手彫り印章」(R5.1.26認定)は御蔵島産本柘を使用しています。

御蔵島本柘の次に質の高いのが薩摩本柘(さつまほんつげ)です。鹿児島県産の柘から作られた品質の高い印材を薩摩本柘と呼びます。薩摩本柘は全て植林材です。農家が繰り返し植林しているため、森林を破壊しないエコロジーな素材といわれます。計画的に15年~30年くらいで伐採されます。そのため、見た目はどの印材も綺麗に統一されており、品質が安定しています。柘といえば薩摩本柘を指すと言われるほど代表的な柘の産地です。

柘は直射日光や乾燥にあまり強くないので、ケースに入れるなど保管に注意する必要があります。木質系は水分にも弱いので、水洗いしたり濡らしたままにしないことや使用後にはティッシュなどで印面に付いた朱肉をふき取ることも長く使用するためには大切です。

「あかね」とは

あかね

柘(あかね)と表示されることがありますが、あかねは柘(ツゲ科)とは別のアカネ科植物であり柘に近い品質を持っている木材です。あかねの産地は主にタイなどの東南アジアです。そのため、かつては「シャム柘」と呼ばれていたのですが、シャム(タイ)以外の産地のものもあるため、平成14年から「あかね」と呼ばれるようになりました。現在タイでは森林伐採から洪水などの被害が出たため、伐採が禁止されています。そのため、ラオスやミャンマーなどから輸入されることが多くなっています。

本柘と違って成長が早いので量も多く採れ、比較的安価に手に入れることができます。そのため高級印鑑というよりは日常的によく使う印鑑として広く使われています。
保管に関する注意事項は本柘と同様です。

あかねは、本柘に比べると年輪がはっきりしていません。また本柘に比べて赤みを帯びた黄色です。

本柘もあかねも、耐摩耗性は象牙や牛角などの動物系に比べると劣ります。
(耐摩耗性を改善した「彩樺」という木質系印材もあります。)

印章店によっては、本柘とあかねを明確に区別していない所もあります。
当店では、特にご依頼がない限り「あかね」を使用しません。

当店の本柘の印章

当店では、かわいい「こけしはんこ」「武蔵御嶽神社ご祈祷印」が本柘で作られています。
贈り物に人気の商品です。

「こけしはんこ」
「武蔵御嶽神社ご祈祷印」

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