東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店
2024.08.28
ハンコの知識篆刻の印材としてポピュラーな石が「青田石」(せいでんせき)です。今回はこの青田石についてご説明します。
篆刻に用いる石印材の99%以上が中国で採石されています。その産地で大きく分類すると「寿山石(福建省)」「昌化石(浙江省)」「青田石(浙江省)」「巴林石(内蒙古)」の4種類となります。なかでも青田石は、質が比較的均一で柔らかいため初心者でも彫りやすいことが特徴です。
青田石は、中国の浙江省麗水市青田県の季井嶺にある図書洞から産出します。
青田石の主成分は葉ろう石。「燈光凍」、「魚脳凍」と名づけられる上質なものから、練習用と評される「図書石」まで様々あるものの総称。篆刻では初心者向けの石とされ、安価である。色は淡緑灰色、淡い青色、薄い緑などと表現される。(ウィキペディア「青田石」より)
青田県では、青田石を産出することから西暦300年頃から石彫が行われており、2万人以上が関連業務に携わり、工業総生産は約3.5億元に及んでいる。青田石は青田県の工業総生産の約18%を占め、この地域の一大産業となっている。(ウィキペディアより)
現在は、その乱掘により良石は姿を消し、ほとんど良材の青田石の脈が尽きた、と言われております。今「図書石」と呼ばれる密度が荒く雑味のある安い石がほとんどになりました。ホームセンターなどに100円単位で売られる練習用の青田石はこの手で、磨いても艶が出ない、引っ掛かりがある・もろいといった質の悪い安物です。見た目も美しくありません。一説によると、中国一帯一路戦略の一つが、アフリカに青田に似た石の鉱脈を見つけ、これを確保するためと言われています。実際、すでに中国の印材屋さんで「青田石」はアフリカ産と公表している店もあるそうです。(植物園「槐松亭」のブログより)
<以下は、青田石を輸入している業者の話です。>
当社は全て上海工芸との契約により輸入しています。弊社直輸入の印材、青田印材を含め弊社が扱う印材の弊社内全量検査を実行しています。近年になり一時期、青田石の価格が上昇し始めました。これは「中国一人子政策」の直接的影響による「極端な現業員不足」が原因でした。
良質の石材の不足を解消するために、「青田石章」と同質の石をアフリカに求めることに成功した印材廠群は、一定の範囲までとは言え安定した供給体制に戻りました。
かつては青田石章の契約を統括し、今尚その中心にある上海工芸は2010年ころ、現在取り扱う青田石材の原石は非洲産(アフリカ産)であると公表しました。
従前の青田県産石材と鉱物学的に同質のアフリカ産青田石章の拡充により、品不足や価格の高騰が改善され、石質も中国青田で原石を産出していた時代と変わらぬ品質範囲に戻りました。
アフリカ産原石も、原石自体は「鉱物学的には中国青田石と同一」と言える範囲下の石材ですが、寸法裁断や印面磨きなどの全てを初経験のアフリカに任せた。これが、一時期とは言え青田印材材質に生じた不安定さの主原因です。
そして、2015年以降は原石アフリカ産の青田石章の仕上げの粗さ・悪さがかなり改善され、以前の中国産原石・中国仕立時代とさほど変わらぬ状況となり、これが持続されています。(みなせ筆本舗より)
現在市場に出回っている安価な青田石は中国産で、中級以上の青田石は原石アフリカ産なのかもしれません。
篆刻教室では、青田石の他に「巴林石」(ぱりんせき)や「寿山石」(じゅざんせき)なども使用していましたが、石材の価格が高くなり現在はほぼ青田石を使用しています。篆刻教室で使用している石材は輸入業者から直接仕入れており、品質レベルは、特上・上・並の3段階の中の(上)ですので、粗悪品でないことを保証します。それでもたまに硬い石にぶつかることがありますが、ご容赦ください。
石材について、過去の記事も参考にしてください。(篆刻に必要な道具とは?)
なお、「鶏血石」(けいけつせき)という赤い石があります。これは超珍品で貴重な石材です。かつて○○鑑定団に出品されたことがありましたが、見事に別種類の石でした。ネットオークションなどに出てくるものは偽物もかなりありますのでご注意ください。本物は滅多にお目にかかることが無く、非常に高価です。こちらが本物の「鶏血石」(文化遺産オンライン)です。
石と向き合う時間は至福のひととき。あなたも篆刻体験してみませんか。
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