東京都青梅市の印鑑・はんこ専門店
2024.05.30
ハンコの知識先日、古い象牙のはんこをご持参されて、「このハンコは使わなくなったので、別の名前に彫り直すことができますか?」とお問い合わせされるお客様がいらっしゃいました。
不思議なことに同じようなお問い合わせをされるお客様がまた別の日にいらっしゃいました。
既に一度彫ったはんこをすり減らして、別の名前を彫ることを「彫り直し」「改刻」といいます。限りある資源を大切に使うためにも「彫り直し」をお勧めします。
以前にも彫り直しに触れたことがありますが、改めてお話ししようと思います。
当店では、象牙、牛角、黒水牛のはんこの彫り直しを受け付けています。特に象牙はハンコの材料として、朱肉の写りの良さ、何十年でも使用できること、見た目の美しさ、細かい細工が可能なこと、など印材として最適な特性を持っています。良い印材を長く使っていただくために、彫り直しをお勧めしています。
牛角、黒水牛のはんこは保管状態が良くない場合には虫に食われるということがあります。ウソのようですが、セーターなどの衣料品が虫に食われて穴があくのと同様に、はんこも虫に食われて穴をあけられる(くぼみが生じる)ことがありますのでご注意ください。はんこの状態によってはこちらも彫り直しが難しいことがあります。なお、虫食いを防ぐためには衣類の防虫剤を使用することをお勧めします。ひどく虫食いが進んでいる場合は、彫り直しができない場合があります。
木材系(柘、彩樺など)やプラスチック系のはんこの彫り直しは原則としてお断りしています。木材系やプラスチック系のはんこは、長期間使用して印材が柔らかく(又は、もろく)なっている可能性があり、彫り直しができないことがあります(ただし、手入れの程度によって状態は異なります)。更に彫り直しにかかる料金からみてもメリットが少ないために、これらの場合は、新たなはんこを作ることをお勧めします。ただし、どうしてもという場合には実物を拝見した上で、ご相談に応じます。
チタンなどの金属系、メノウや水晶などの貴石系のはんこは、手彫りが出来ず、彫るための特別な機械が必要ですが当店にはありません。どうしてもという場合は、専門業者に依頼するので割高になりますが、ご相談に応じます。思い出の品であったり記念品のような場合は大切にしたいですね。
象牙、牛角、黒水牛の場合でも、現物を確認のうえ、乾燥が進んでひび割れている可能性があるものは、お断りをさせて頂いています。印面だけが多少欠けているものは対処できますが、縦にひびが入っている場合は彫り直しをお受けできません。
また、見た目にはひびが見えなくても、加工していく段階でひび割れてしまう場合があります。やすりを使って印面を平らに削るときには一時的に高熱になりますので、乾燥している印材はそのときになってひび割れることがあります。このため、彫り直しを受け付ける時点で、お客様には加工途中でひび割れてしまう可能性があることをご説明し、ご了解いただいた場合にのみ彫り直しを受け付けています。
印面をやすりで削って平らにしている様子については、こちらをご参照ください。
象牙は国際条約によって輸出入が厳しく制限されており、現在では日本国内に新たに象牙が輸入されることはありません。生物を保護し、資源を有効活用する意味において、象牙の彫り直しは良いことです。ただし象牙の違法取り引きを防ぐためには、政府機関に正式に登録している販売店で彫り直す必要があります。当店は登録事業者です(登録番号:第04149号)。登録していない店舗では象牙の彫り直しも禁止されています。
なお、インターネット通販業者も彫り直しを宣伝していますが、それはほぼ間違いなく機械彫りです。手彫り・手仕上げのハンコをご希望のお客様は、ぜひ当店にご依頼ください。
実印、銀行印などはんこに関するお問い合わせ・ご注文は、 ホームページの「お問い合わせ」、または電話(0428-22-4461)で。